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おこしもの・おしもん(雛菓子・愛知)と木型

■おしもん(おこしもん・おしもの・おこしもの・おこしもち・おしもち)

愛知県(尾張・三河とも)で、桃の節句に供えられるお菓子の一種です。端午の節句にも作ったという話は聞きましたが、それが一般的かどうかは定かではありません。

名称が地域や家庭によって違います。おしもん、おしもの、おこしもの、おこしもん、おこしもち、おしもち等々まったく一定しません。

語源もはっきりわからないのですが、「押し紋」「押し物」「起こし物」などがその候補とおぼしきものです。

Webmasterはずっと「押し紋」だと思ってましたが、ネット上の情報や、市販の商品では「おこしもの」「おこしもん」が多いようです。


作り方は、米粉を練ったものを型に入れ、蒸し器で蒸した後、食紅(赤の他、緑、黄色も用意)で着色します。味がついていないので、砂糖あるいは砂糖醤油をつけて食べます。焼いて食べることもあります。

本当に素朴な味です。醤油を付けるとみたらし団子っぽい味といえば、他の地方の方にもご理解いただけるでしょうか。

現在でも、桃の節句ごろに名古屋市内の和菓子店やスーパー等で売られていますが、自宅で作る人はだんだん減ってきています。

型はデパートや和菓子店で数千円から1万円前後で手に入るようです。最近はキャラクター物の型もあるという話も聞きます。手軽にクッキーの型などで代用してもいいかもしれません。

子供にとっては、色をつけることがとっても楽しい作業なので、お子様にも体験させてあげれば、きっと良い思い出になると思います。


三重(伊賀地方)にも「おしもん」がありますが、愛知のようなお餅のようなものではなく、上新粉に水飴等を加える工程をみると落雁に近いようで、中にあんこが入っているそうです。

■「おこしもの」の古い木型の写真

昔ながらの型は、今ではなかなか手に入りづらく、あっても小さかったり薄かったりするようです。

Webmasterが子供の頃に自宅にあったもの(姉妹がいなかったので後に叔父に譲渡)を写真に撮りましたので、資料として公開します。

一番古い記録は明治30年(1897年)のものですから、100年以上前のものです。

つい最近まで、現役で使用していたものです。

Webmasterの実家は名古屋市内にありますが、同じ市内に住んでいた親類から、大正〜昭和初期ごろに譲渡されたものと聞いています。

おしもん・おこしもん(型)(明治〜大正期)

素材は桐と思われます。目が細かくてずっしりしています。

おこしもん(型)

一番古いもので、明治30年(1897年)と記録されています。ほかに年号が記録されているのは、明治45年(1912年)と大正5年(1916年)だけでした。

おこしもち(型)明治45年

「○○権七さん」と名前が入っています。名前にも時代を感じます。丸いのは焼き印です。(個人所有ですので、申し訳ありませんが、一部伏せさせていただきます。)

おしもん(型)鯛

縁起物の定番「鯛」です。下の型だと鯛焼きと同じくらいの大きさになります。

おしもん(型)宝船

これも定番「宝船」です。

おしもん(型)鶴

わかりづらいですが、日の出をバックに鶴が羽を広げている様です。他には扇、達磨、桃、蕪(かぶら)、羽子板、桜の花といった縁起物があります。

おしもん(型)達磨・桃

おしもん(型)蕪

おしもん(型)扇・筍・桜

下はめずらしい「複葉機」の木型です。男の子向けだったようです。私が子供の頃は、プロペラでかろうじて飛行機らしいということまではわかりましたが、後に複葉機だと気がつき、型の古さに驚いた記憶があります。(少しピンぼけです。ごめんなさい。)

おしもん(型)飛行機・複葉機

文責・写真提供:Webmaster

2009年1月4日
修正2009年1月30日
一部修正2015年1月5日